哲学叢林 silva philosophorum

  • 迷いの中で哲学に入り込み、哲学の中でさ迷っている若者は多い。ジャングルとしての哲学。分析哲学はそういったジャングルを切り開き、スーパーウェイを建設しようとする行き方とも考えられる。ジャングルにとどまり、その中にいまだ隠れている宝石を探す手もある。知と情報のジャングル・ツーリズム。
  • ベーコンは、アリストテレスの森を切り開こうとした。黒い森は、ヨーロッパ的アイデンティティの起源ではなかったのか。

狙いとフィールド

  • 若い世代の研究者の方々の、いまだかたちをとらない、アモルフなモチーフに点火するために。
  • 哲学というジャンルにとどまらず、広く目配りをして、時代と鋭く交叉しようとする問題意識を探す。
  • 教養の基礎の今日的な変容を踏まえて、アニメ、ゲームの世界などと哲学ないし思想の世界との接点を探る努力をする。

 

 

探険・哲学叢林 第3回

法貴 遊  イスラームにおける話し言葉と書き言葉
──クルアーンからイブン・スィーナーまで

2022年10月28日(金)  午後3時より   オンライン開催

イスラーム思想の核心は話し言葉と書き言葉の緊張であるという観点に立ち、クルアーンの言語観から古典アラビア語文法学、カラームの学(いわゆるイスラーム神学)、イブン・スィーナーの哲学までの言語思想の系譜をたどる。独自の視点から再構成したイスラーム概論。

法貴 遊(ほうき・ゆう) 京都大学非常勤講師。『クルアーン入門』(作品社、2018年)、「モノたちが互いに区別されて存在している世界──アシュアリー学派の行為論と偶因論」『未来哲学』1号、 2020年)、「カイロ・ゲニザにおけるユダヤ教カラームと聖書解釈.」『宗教研究』94巻別冊、2021年)。

 

探険・哲学叢林 第2回

一色大悟  存在論のもう一つの系譜──説一切有部・衆賢・体滅用滅論争

22022年3月15日開催  『未来哲学』第4号掲載 7月25日刊

紀元5世紀に活躍した仏僧、衆賢(サンガバドラ)を手がかりに、今日もなお生きてはたらく、未知なる存在論の系譜を発掘する。

一色大悟(いっしき・だいご) 東京大学助教。説一切有部の教理学(アビダルマ)を中心とする仏教思想史。『『順正理論』における法(dharma)の認識』で博士号取得。『『倶舎論』を中心とした五位七十五法の定義的用例集』(共編著、山喜房佛書林,2011年),「『倶舎論』の〈大地(-mahābhūmika)〉説の特色」(『仏教学』56号,2015年)。

 

探険・哲学叢林 第1回

細川瑠璃  新たなる中世──ロシア宇宙主義の過去へのまなざし

2021年5月22日開催  『未来哲学』第3号掲載 12月20日刊

〈中世〉の知られざる描像へ。フロレンスキイを中心に、ロシア宇宙主義が描く歴史像・宇宙像に迫る。西欧伝統のそれとは異風な原理を探って。

細川瑠璃(ほそかわ・るり) 東京大学非常勤講師。パーヴェル・フロレンスキーを中心とする20世紀ロシア思想(宗教思想・科学思想)。「花粉から花序へ──『個』をめぐるロシア思想とノヴァーリス」(『思想』2022年6月)、「魔術とリアリティ──フロレンスキイの魔術論」(『思想史研究』28号、2021年)。

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