東洋哲学序説 井筒俊彦と二重の見

東洋哲学の詩的・象徴的定礎のために

──未来哲学双書創刊・第一弾。

東洋哲学序説 井筒俊彦と二重の見

西平 直

2月25日刊行 ISBN978-4-910154-14-5 C0010

四六判・並製 214頁 本体2000円

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古今東西の言語と思想に通じた一代の碩学・井筒俊彦。その豊饒な思索の一側面を内側からトレースする。

分節と無分節の同時現成、二重の見、事事無礙。そして、禅モデルと密教モデルの問題。意識構造モデルの問題もある。深層意識におけるイマージュ、コトバの本源的なはたらき、あるいは、意味分節理論もある。井筒は思想研究の方法論を強く意識していた。イスラーム思想の意味論分析に遡る仕方で、その強靭な思索の根幹を見定める。

『意識と本質』以降の自在な語りを支えていた礎石。対話でもなく比較でもない。複数の思想を自分の内で溶かしてしまう「インターペネトレーションのところ」。井筒哲学の深淵を静かに拓こうとする。

 

姉妹編『東洋哲学序説 西田幾多郎と双面性』近刊。

 

目 次

序 章 井筒哲学を読む

I 「二重の見」の原風景

第一章 「二重の見」とは何か──禅師の三段階モデル

第二章 「分節と無分節の同時現成」とは何か──認識、存在、そして、言葉

第三章 道元「水、水を見る」──『正法眼蔵』と「二重の見」

第四章 「二重の見」──東洋哲学の基本構造

II 深層のコトバ──意識構造モデル・意味分節理論・意味論分析

第五章 「二重の見」と「構造モデル」

第六章 コトバの本源的な働き──禅モデルと密教モデル

第七章 意味分節理論──「気づく」ということ

第八章 意味論分析──『意識と本質』に先立つ英文著作の方法

著者紹介

西平 直(にしひら・ただし)

1957年生まれ. 専攻, 教育人間学, 宗教心理学, 死生学, 哲学. 現在, 京都大学教育学研究科教授.

著書,『エリクソンの人間学』(1993), 『魂のライフサイクル──ユング・ウィルバー・シュタイナー』(97), 『教育人間学のために』(2005), 『世阿弥の稽古哲学』(2009, 以上, 東京大学出版会), 『無心のダイナミズム──「しなやかさ」の系譜』(岩波現代全書, 2014), 『誕生のインファンティア』(みすず書房, 15), 『稽古の思想』(2019), 『修養の思想(2020), 『養生の思想』(2021, 以上, 春秋社)ほか.

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